第8回金沢創造都市会議

金沢創造都市会議2015 >基調スピーチ

概要説明

■概要説明 総合テーマ「文化プログラム2020」



金沢創造都市会議開催委員会副会長
一般社団法人金沢経済同友会副代表幹事
福光松太郎

 安宅代表幹事から、このまちの近況についてお話しいただきまして、それに若干補完する格好で概要説明をさせていただきます。基本的に新幹線開業以降の、ポスト新幹線時代の課題がどのようになるか。基本的には在来線の3 倍の来訪者を受けて、観光スポットを中心にまちが少し荒れてきているというのが基本的な認識ではないかと思います。近江町市場で地元のお客さんがお買い物に行けなくなり1 軒のお店が倒産するようなことも起こっています。様々な規制が必要だという話になってきました。ひがし茶屋街においても非常な混雑ですし、住民との折り合いがどのようにつくか、あるいは出店をどのように逆に規制をするかというような話で、市もまちづくり協定の拘束力を少し強めようという考えもあるようです。

 従って、本来の金沢文化を高めることが必要であり、観光地ではなく文化都市であり、必然的に創造都市であるわけです。理想的には金沢文化を鑑賞・体験、あるいは参加することで、金沢ファンが増えていく、一種の金沢方程式というようなものを確立する必要があり、そのような時代に入ったと思います。「リピーター」という言葉を使うのをやめて、「金沢ファン」という言葉にしたいと思っています。そのような一つの典型が、いわゆるクリエイティブツーリズムで、いろいろな創造都市でも盛んに行われていますが、当地ではそれのうちのクラフト(工芸)のツーリズムや、それから、例えば伝統芸能を習いに通うようなツーリズムなど、さまざまなものが考えられていますが、さらにそれを強めていくのもそのような方程式に合うのではないかと思います。さらにいろいろなプログラムを考える必要があります。
 ちょうど石川県では地方創生の長期構想に、文化振興を強調するという方向をはっきりさせました。4 月に文化振興条例を施行しましたが、観光立県ではなく文化立県であることをきちんとはっきりと打ち出していくという方向です。また、金沢市は文化振興条例をつくる機運になりました。県の条例とは補完的な、金沢独自の条例をつくろうとしていて、伝統文化の担い手の育成などを特に強めて、このまちの風格を維持・進化させる方向の条例になろうかと思います。折しも昨年の金沢学会でもテーマにしましたが、2020 年というのは大きなグリッド、節目です。オリンピック・パラリンピックの年で、スポーツの祭典の他に、文化の祭典であり、開催国の文化を世界に広める大きなチャンスです。そして、文化庁では国のプログラムを盛んに制作中で、今日も審議官が来ておられますので、またお聞かせいただきますが、それに加えて、各自治体も大変熱心に準備を進めておられるところが複数あります。金沢・石川が若干遅れ気味ではないかと思っていまして、取りあえず昨年の金沢学会を受けていただいて、2018 年に東アジア文化都市というイベントにエントリーするというのが金沢市の方向ですが、さらに2020 年に向けたプログラムづくりが急務であるという背景を持っています。

 今回、総合テーマを「2020 文化プログラム」としました。構成は、セッション@で「文化プログラムのデッサン」。本当は文化プログラムのデッサンがもう終わっていて清書に入らなければいけない時期なのですが、取りあえず「デッサン」にしました。それでぜひ2020 年文化プログラムについての具体的な討論をしていただきたい。国の方向、世界の状況、そして金沢、石川はどうあればいいか、そのようなことだと思います。創造都市であることをどう生かしていくか、先般、5 月の世界創造都市、創造都市世界会議が日本で初めて、金沢で行われました。69 の創造都市の中からたくさんのまちが参加されました。その中で金沢に創造都市研究所を置けないかというテーマも出ています。そのようなことも含めて、文化プログラムのデッサンをしていただきたいです。セッションAは、この当地の文化といった場合、工芸が非常に重要なポジションです。工芸に新戦略が必要ではないかという提案を、これからの工芸とは何か、伝統と革新とは何か、という視点から議論していただきます。分野の
成長と枠組みですが、工芸も美術工芸や伝統工芸、生活工芸といろいろありますが、世界に打って出る工芸になるには、どのような枠組みをどうしたらいいだろうか。そして工芸は大きな産業でもあるはずで、商品開発やマーケティングの問題、作り手との売り手の関係性の問題なども非常に重要なポイントだと思います。優秀なディレクターの必要性もずっと叫ばれてきました。このような議論をお願いしたいと思います。セッションBは、「金沢文化と世界標準」というテーマにしました。金沢文化を深めながら、かつ、世界の先進文化都市の共通的なインフラ、ソフトを持っている必要があります。先進文化都市における世界標準とはどのようなものなのか、必須になるインフラとソフトは何なのか、それらを金沢は金沢らしく、金沢ナイズできるのかどうかということを議論していただければと思います。

 明日の全体会議は、この三つのセッションの議論を受けて、総合討論ということで例年のように山野金沢市長に入っていただいて、討論を行っていきます。最後に「金沢創造都市2015 宣言」を採択して、2 日間の日程を終わろうと思います。重要な節目のタイミングで、この第8 回金沢創造都市会議を開くことができたことを非常に楽しみにしています。皆さまの積極的なフロアからの発言もお願いしたいと思います。どうぞ2 日間、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。


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