■開催レポート1
金沢創造都市会議開催構想は、金沢経済同友会が平成9年に創立40周年を迎えるのに当たって打ち出されたもので、金沢において、経済、文化、環境、福祉など都市における諸問題をテーマにした国際会議を継続的に開催し、会議の成果 を国の内外に向けて発信することにより、世界都市金沢の存在感を高めたいという考えを基本としている。同時に、創造都市という分野の研究をさらに進めるため、創造都市学会をこの地に設立することもこれからの課題としている。
  21世紀の幕開けとなる2001年度に第1回開催を目指した助走として、昨年3月、第1回のプレシンポジウムが開かれ、海外からゲスト講師を迎え、同会議開催の可能性について論議を交わした。こうした経緯を踏まえ、今回はゲストを国内に絞り、期間を2日間に延長して、「都心」を論じ合った。
  今回のゲスト講師は、演出家で劇評家の荒川哲生、国際日本文化研究センター教授の川勝平太、東北芸術工科大助教授の竹村真一、法政大教授の田中優子、総合芸術家で狂言師の野村万之丞、編集工学研究所長の松岡正剛の各氏と多彩 な顔ぶれがそろった。また、地元関係者からコーディネーターとして、アートディレクターの大場吉美、メディアプロデューサーの金森千榮子、東京家政学院大教授の小林忠雄、金大教授の佐々木雅幸、金沢工大教授の水野一郎、金沢経済同友会都市問題委員長の米沢寛の各氏を迎え、両日を通 じて佐々木金大教授がチェアマンを務めた。
  第1日は、行政、金沢商工会議所、金沢青年会議所、大学、市民ら約120人が参加、開会式で福光松太郎同会議実行準備委員長があいさつしたあと、ゲスト講師、コーディネーターによるプレゼンテーションが行われ、各氏が自己紹介を兼ねてテーマに対する思いを述べた。
  荒川氏は「住む人の心を映す鏡が演劇であり、金沢の生活に溶け込ませたい」、川勝氏は「生活空間に広がりを持たせ、地域を見せる時代だ」と強調した。竹村氏は「世界が均質化する中、都市が自立する担保は文化の個性だ」と指摘し、田中氏は「常に創り直していくことが都心(みやこごころ)につながる」、野村氏は「経済より文化を中心に考え、文化芸術は時間の無駄 があってこそ成り立つ」、松岡氏は「風変わり、様変わり、人変わりを起こせる仕組みが重要だ」とそれぞれ金沢の都市像に魅力を増す方策を提言した。
  コーディネーターからは、主計町などに続く旧町名の復活や用水の活用、市民意識の改革などを急ぐ必要性などを説く意見が出された。