■パネリスト プレゼンテーション

●米沢 寛
 今、私は金沢経済同友会で都市活性化委員会の委員長をさせていただいております。ここ2年くらいで提言書を出すことになっているテーマの1つが、県庁跡地の問題です。その横に四高跡と中央公園、そしてお城の中も緑化フェア後は空くわけで、その中央ゾーンをどうするかという話です。今現在石川県で話し合われているセントラルパーク構想というのが一番本筋になりつつありますが、それを踏まえて私ども内部で討論をさせていただいています。そしてもう1つは、犀川、浅野川に挟まれた、JR線の内側の旧金沢市街地の中で、表現できる現在の金沢らしさとは何ぞやという話をしております。
 あと2つありまして、そのうちの1つは、都心の住宅の話。ご存じのとおり、県から市へ用途地域の決定が移行されました。
固定資産税の税法などの関連もあるのですが、今旧市街地の中には、30坪や50 坪の狭い駐車場がずいぶん多く見られますが、その場所に金沢スタイルの都市型集合住宅というものはどんな姿であるべきかという話を今させていただいております。また、民間が建てた住宅に住む人に対して家賃補助等の、新しい公共住宅の供給の展開もされており、それらも含めて、せっかく用途地域の決定が県から金沢市に移りましたので、金沢型用途地域の導入ということも含めて、都心の住宅というものはどうあるべきかという話し合いをさせていただいております。
 最後の1つは、金沢にふさわしい新しい公共システムのあり方のを研究です。こちらは平成9年に、単に交通 渋滞を解消することではなく、新しい魅力を街に付加する目的で、LRTを提言しました。昨年10月に6日間の交通 実験をしています。ご存じのとおり金沢市内は戦災を受けておりませんので、幹線道路も上下4車線しかありません。そのうち2車線を、朝7時半から夜6時半までバス専用レーンにして、2車線だけ車が通 れる。それに加えて、11時ごろだった最終バスを12時までに延長しました。普通 は車で商店街に買い物に行きますと、駐車券が付いてくるのですが、買い物バス券を発行して車に乗ってこない方に、帰りのバス利用券を差し上げました。日曜日に歩行者天国を設定し、一般 の自動車もタクシーも通れなくて、バスだけが通れるという実験もしています。もう1つはパークアンドバスライドといいまして、郊外に駐車場を用意し、そこからバスに乗り、バス占有レーンを通 って市内まで来ていただくということも合わせてやらせていただきました。実は金沢ではパークアンドバスライドについて、ここ6〜7年実験を続けています。郊外にある大きなショッピングセンターの駐車場に車を停めていただき、そこから市内に来るバスを出しています。そこに駐車する駐車料金は、そのショッピングセンターの月5000円の商品券を買えば、その駐車場は無料になります。
 この実験に到るまでに本当に長い道のりでした。県、市、商工会議所、金沢経済同友会、そしてJCと、15年前に初めてこの5つの団体で、フードピア金沢などのいろいろな運動を展開するJVができたのですが、この交通 実験に関してはそれに加えて、県警、道路管理者である建設省、運輸省、タクシー協会、トラック協会、地域の町会連合会が全部関わってきますので、非常に難しかったのです。一昨年に初めて同じテーブルに就いて、この実験ができたということです。
 この実験の結果を踏まえて、7年後に内回りと外回りの金沢のバイパスの環状道路ができますので、それまでに、新しいシステムを導入するのか、現存のバスを有効に動かすのか、車との共生を計りつつ提言を出させていただきたい。この4つのテーマで今頑張らさせていただいております。
 私は昨年も参加させていただき、交通システムについては、環境問題から金沢市民に訴える立場で発言をしたのですけれども、竹村先生にIT関連や科学技術の発達で自動車自体が燃料電池になったり電気自動車になったりすると、そういう導入の論理は陳腐になってくると教えられました。そういう意味であらためてこういうシンポジウムに出させていただいて、もう1つ次のステップに進みたいというふうに思っております。

  


金沢ラウンド誕生について
パネリストプロフィール
モデレータープロフィール
開会あいさつ
福光松太郎
プレゼンテーション
 水野一郎
 伊藤光男
 竹村真一
 米沢 寛
 金森千榮子
 市村次夫
 川勝平太
 小林忠雄
 大内 浩
 松岡正剛
 山口裕美  
 米井裕一
 佐々木雅幸
●セッション1
都心で実験してみたいこと
●セッション2
これから議論すべきテーマは何か
●セッション3
創造都市とは何か
 
全体会議のまとめ
委員長総括
実行準備委員会